2023年6月21日足場の雀
マンションの大規模修繕。
足場が組まれた直後は、近所の鳥たちが大騒ぎだった。
そのうち、この足場がすっかり気に入ったらしく、
朝方など、よく遊びに来ていた。
足場の雀が、歌っている。
天網恢々疎にして漏らさず <テンモウカイカイソニシテモラサズ>
「天に張り巡らされた網は、ゆったり大きく私たちを包み、
その目は粗いけれど、悪は必ず捕らわれる」
足場に囲まれながら、そんなことを考えている時、
善き職人さん達は、黙々と働いてくれていたのである。
マンションの大規模修繕。
足場が組まれた直後は、近所の鳥たちが大騒ぎだった。
そのうち、この足場がすっかり気に入ったらしく、
朝方など、よく遊びに来ていた。
足場の雀が、歌っている。
天網恢々疎にして漏らさず <テンモウカイカイソニシテモラサズ>
「天に張り巡らされた網は、ゆったり大きく私たちを包み、
その目は粗いけれど、悪は必ず捕らわれる」
足場に囲まれながら、そんなことを考えている時、
善き職人さん達は、黙々と働いてくれていたのである。
多和田葉子さんの小説「白鶴亮翅」(ハッカクリョウシ)。
主人公の名前が「高津目美砂」で、偶然私と同じ、砂の美砂。
高津目美砂さんは、ベルリンで一人暮らしをする翻訳家で、
この美砂さんを通じて、共にひとときベルリンに暮らし、
国籍からも感情からも少し自由な「その人」の世界で、
さまざまな文化・歴史・物語・傷や躓きについて考えることになります。
幽霊ともすれ違うことになります。
言葉にできなかったモヤモヤしたものが、言語化されていく感覚もあり、
いろいろな場面で、腑に落ちるものがありました。
現在進行形の世界で、ニュースは、ロシア・ウクライナのダムの決壊を伝えています。
それは遠いどこかの誰かのことではないと感じています。
国境などどうでもいいから、私たちの日常をこれ以上壊さないで、と叫びたくなる。