2023年11月11日11月の天使
トルコの珈琲占いは、濃厚なトルコ式コーヒーを飲み終えたその人のカップを
伏せて暫く置き、カップの内側に残ったコーヒーかすの模様を読み解く。
それで、「あなたの家は、天使に守られている」と告げられたことがある。
占いなんて信じない。だけど、天使はいるかもしれない、と思った。
ただ、その天使、金髪巻き毛のかわい子ちゃんとはかぎらない。
みすぼらしい老人の姿をしているかもしれないのである。
グノムという精霊は、土から石を掘り出す「契約」の天使(老人)であり、
それを裏切ると大変なことになる、とても恐いコビトだという話がある。
童話「白雪姫」に出てくる「7人のコビト」の原型も、グノムであろう。
この話しについても、特に信じる根拠はない。
2023年10月9日食欲の秋に、キムホノさんの器
秋は、貪欲になります。そして、忙しい。
実りの秋、紅葉狩りの秋、芸術の秋、食欲の秋・・・
気候が変わるように、気分も変えたくなる。
陶芸家キムホノさんの新しいうつわを発掘してきました。
柏のギャラリー「うつわ萬器」で。<キムホノ展>12日まで開催中。
同じ器はひとつもない。それぞれの手ざわり。 おもしろい。
自由な発想、楽しい食卓、感謝の秋である。
2023年9月27日母と娘の心理
秋めいてきた。
多和田葉子さんの小説「白鶴亮翅」の中に、興味深い幽霊話が出てくる。
主人公が通っている太極拳教室の友達の様子がおかしい。げっそりやつれている。どうしたのか。
夜入浴のために湯をはると、バスタブの中に女性の死体(幽霊)が横たわっているのだという。
その問題を解決するために、一人暮らしの彼女の住まいを訪ね、
心霊儀式のように、お茶を飲みながら夜話しをする。そして、バスタブに向かってみると・・・
母娘の心理と蜘蛛の巣が絡み合って見えてくるのです。
幽霊も、人の心の表れでしょうか。離れていても娘の心を捉えて放さない母という存在の威力。
2023年9月3日トンボの産卵
秋田の森の小さな池で、トンボが産卵中でした。
近づくことができなかったので、荒い画像になりました。
トンボが飛んでいると、吸血昆虫が寄ってこないので、
安心して、山歩き森歩きを楽しめます。
虫除けスプレーより、トンボの存在の方が、楽しい感じがします。
それがオニヤンマなら、もはや向かうところ敵なし。
トンボの産卵を見たのは初めてでしたが、ずいぶん時間をかけていました。
いっぱい産むのでしょうか。それとも難産だったのでしょうか。
この夏最後の休日。我々の他に、人間は一人もいなかった。
2023年8月15日8月の空に
「まさかそんな愚かなことをするはずがない」
そういう予測を裏切って、戦争が起こる。
予測を裏切って、風向きが変わる。
昆虫や植物には優れた生存戦略があるようだ。
先日、ロシアの永久凍土から、新種の線虫が発見され、
それが4万6000年の休眠から目覚め、動き出したという報道(2023年8月8日)。
温暖化の中で溶け始める永久凍土から出てくるものは、線虫だけではないはずだ。
新種のウィルス、微生物、彼らも持っている休眠という戦略。 この戦略は素晴らしいけれど、空恐ろしい。
2023年7月11日食いしん坊のツバメ
職場の建物の一角に、毎年ツバメが巣をかけるのだそうで、
7月3日、夫がそれを撮影しました。
食いしん坊の三羽のツバメの子。
あっという間に大きくなって、もうすぐ巣立ちのようです。
生存競争は、厳しいものだと思います。
厳しいからこそ、早く成長する。
それぞれにそれぞれの一生があって、
精一杯生きているのだと思う。
みんながんばってね。
2023年6月21日足場の雀
マンションの大規模修繕。
足場が組まれた直後は、近所の鳥たちが大騒ぎだった。
そのうち、この足場がすっかり気に入ったらしく、
朝方など、よく遊びに来ていた。
足場の雀が、歌っている。
天網恢々疎にして漏らさず <テンモウカイカイソニシテモラサズ>
「天に張り巡らされた網は、ゆったり大きく私たちを包み、
その目は粗いけれど、悪は必ず捕らわれる」
足場に囲まれながら、そんなことを考えている時、
善き職人さん達は、黙々と働いてくれていたのである。
2023年6月8日「白鶴亮翅」における高津目美砂さん
多和田葉子さんの小説「白鶴亮翅」(ハッカクリョウシ)。
主人公の名前が「高津目美砂」で、偶然私と同じ、砂の美砂。
高津目美砂さんは、ベルリンで一人暮らしをする翻訳家で、
この美砂さんを通じて、共にひとときベルリンに暮らし、
国籍からも感情からも少し自由な「その人」の世界で、
さまざまな文化・歴史・物語・傷や躓きについて考えることになります。
幽霊ともすれ違うことになります。
言葉にできなかったモヤモヤしたものが、言語化されていく感覚もあり、
いろいろな場面で、腑に落ちるものがありました。
現在進行形の世界で、ニュースは、ロシア・ウクライナのダムの決壊を伝えています。
それは遠いどこかの誰かのことではないと感じています。
国境などどうでもいいから、私たちの日常をこれ以上壊さないで、と叫びたくなる。
2023年5月22日5月のサミット
山頂(サミット)には、山頂でしか見られない風景がある。
山頂を目指して歩くけれど、山頂にとらわれない登山も好きだ。
道はどこまでも続いている。
*
5月21日、ウクライナの大統領も迎えて、広島G7サミットが閉幕した。
そのG7の山頂から、ロシア・ウクライナの和平への道は見えたのだろうか。
平和を祈りながら、戦闘機のやりとりをする方々の集合写真。
私にはわからない。
蟻の気持ちで、森に入る。
2023年5月21日小石川植物園の動物
心を傾けて目をこらせば、
ミズカンナの池に、ウシガエルがいっぱい!
今、その大合唱を聞くことが出来ます。
いや、合唱というより、ブラスバンドの演奏に近い音質です。
今年は、ミズカンナが剪定され、
ウシガエルの姿を見つけやすくなっているので、
この機会に、是非ご鑑賞ください。
低音の魅力あふれる生演奏です。 題名は「平和」
2023年4月21日天使のベンチ~小石川植物園~
オオアマナの群生の中に、ベンチがある。
これは4月の魔法。
小石川植物園に現れた地上の天国。 天使のベンチです。
人の世と折り合わず、脳足りんの私の心は、地獄ですが、
このベンチに腰掛けると、となりに天使がいるような気がします。
天使と悪魔は、セットだそうです。
天国と地獄も、セットだそうです。
だから、ここには天国が現れ、ひとときほっとするのです。
タンポポもハルジョオンもカタバミも。みんな大好き。
2023年3月23日2023年の椿
今年は、椿の当たり年のようで、
近所の椿は、どこもかしこも、健康的で美しかった。
今はすっかり桜の季節だけれど、
ソメイヨシノは、各所で伐採されており、
谷中霊園の桜のトンネルも失われてしまった。
切り株や落とされた枝の切り口が痛々しい。
足元にシャガが咲く、山吹も咲く。名もない小花も次々と。
花々が絶唱している。
2023年3月16日大正ガラス
時代を生き抜くことは、大変厳しいことです。
人生は失われてゆくものだからです。
大好きだった谷中のひよこ堂も、今はもうありません。
この大正ガラスの切り子茶碗は,ひよこ堂の思い出の一つです。
「私、無愛想だから・・・」と店主はうつむいていたけれど、
時代を生き抜いた良品への愛と誠が店いっぱいにあふれていたこと。
私は、忘れない。
2023年1月30日小石川植物園にてカワセミ
分かりにくいと思いますが、カワセミです。
小さな池で狩りをしていました。
水の中に突き刺さる瞬発力。水中から飛び立つ背中のきらめき。
その青さ。ゴージャスです。
ただ、ものすごく忙しそうで、だから、写真もこんな感じ。
2月から3月にかけて、この辺りにいると思います。
そっと見守っていれば逃げないので、また会えるといいな。
狩りをしているところ、子供たちにも見てほしいな。
2023年1月8日2023年初満月

1月7日の夜、今年初めての満月を迎え、
今朝、その月を見送りました。
とても静かで、ありがたく、心鎮まりました。
この神聖な気持ちを保ち続けられるかどうか。
たぶん無理でしょう。
でも、月は繰り返し、初心を問い続けてくれると思います。
2022年12月14日水の中のナイフ
年を重ねてゆくにつれ、物事の理解は深まってゆくのだろうと思っていた。
よくわからないことも、やがてわかるようになるのだろうと。
今よりずっと若いころ、そんな風に思っていた。
しかし、現実はまるで違っていた。
人生はますますわからなくなってゆく。
2022年が暮れてゆく。
今年観た映画の中で最も印象深かったのは「水の中のナイフ」。
「太陽がいっぱい」を裏返しにしたようなシュールな作品(1962年)
そのラストシーンに、夫はポカンとしていたが、私には余韻が残った。
水に落としたナイフの不穏。その行方も人生も、わからないものです。
不忍池には、冬枯れの蓮の姿。
2022年12月4日降り積もる落ち葉
見上げれば、万華鏡のような、光と影のモザイク、葉っぱ、葉っぱ、葉っぱ。
12月だというのに、まだフレッシュな秋の色づき、
そうかと思えば、もうすっかり葉を落とした木々も混じる。
だから、上も下も、葉っぱ、葉っぱ、葉っぱ。
子供たちにはぜひ、降り積もる落ち葉を踏みしめる喜びを味わってほしい。
土の上に積もった落ち葉のその柔らかさや乾いた音を楽しみながら歩いてほしい。
そういう経験をさせてあげることこそ、子供たちへの贈り物だと思う。
樹木を愛する者は、きっと幸福になる。
なぜだか知らないが、世界は、そういうふうにできている。
2022年12月1日メタといえばメタセコイア

私にとって、メタとは、メタセコイアの森である。 濃い琥珀色の紅葉で、都内で最大級の森は水元公園にある。
写真は小石川植物園。こうした森の木々に、どれほど心をなぐさめられたことだろう。
デジタルや人の世で痛んだ脳を回復させる治療塔。