2017年8月15日海を渡る蝶
アサギマダラは、海を渡る。 アサギとは、淡い海の青色。
その翅は、ステンドグラス絵画の天使だが、胴は太ったやぶ蚊のようで、
確かにマダラだ。天使の隣に悪魔がいて、イエスのそばにユダがいたように、
花にも毒が潜んでいて、アサギマダラはその花に寄り、蜜と共に毒を喰らい
自分も毒を帯びながら、それを力に海を渡る。 毒は薬で、薬は毒。
お腹いっぱい秘密をためて、この蝶も海を渡るのか。
燧ケ岳にて、アサギマダラとマルバタケブキ
アサギマダラは、海を渡る。 アサギとは、淡い海の青色。
その翅は、ステンドグラス絵画の天使だが、胴は太ったやぶ蚊のようで、
確かにマダラだ。天使の隣に悪魔がいて、イエスのそばにユダがいたように、
花にも毒が潜んでいて、アサギマダラはその花に寄り、蜜と共に毒を喰らい
自分も毒を帯びながら、それを力に海を渡る。 毒は薬で、薬は毒。
お腹いっぱい秘密をためて、この蝶も海を渡るのか。
燧ケ岳にて、アサギマダラとマルバタケブキ
豪州で暮らしていた頃、一度だけ、エスペランスという名の海辺を訪れた。
エスペランスとは、希望という意味の言葉だが、そこはまるで地の果てで、
人っ子一人いなかった。まともな標識もなし。 希望という名の秘密 。
目もくらむような白砂で、透明な波打ち際に、虹が立った。
あれから何年経ったろう。 谷中のひよこ堂で、このガラスの器を見たとき、
エスペランスの波だ と思った。 「これ、なーに?」
「プレスだけど、大正期の・・・オーロラガラス」
オーロラガラス・・・言葉の虹が立ち上がる。 器にも景色がある。